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【PBW】【第六猟兵】『今年もアルラウネ収穫の季節がやってまいりました』マスターズノート Part.1

 

 

 

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このたび自分が担当した『第六猟兵』のシナリオが無事完結したので、備忘録的にマスター視点のノートをまとめておきたいなと思った。

 

 

 

 

だが雪崩的に決壊が続いたリアル事情によって、かんたんなメモを書き上げるだけでなんと半年近い日にちが経ってしまった(!)

それでも自分にとってはとても大切な経験であったことに変わりはない。

もはや風化しつつある個人的感傷にすぎないのだが、備忘録としてこの場に書き残す。

 

 

 

第六猟兵なんぞや

 

『第六猟兵』というのはプレイバイウェブ(PBW)というジャンルのゲームで、まあすっごく乱暴にいえばテキスト形式でのTRPGのオンラインセッションみたいな感じ。

 

チャットセッションみたいにその場でプレイヤー⇔GM間を逐次的にやりとりしながら進行していくのではなく、PBWではプレイヤーがシナリオ中の行動方針を送る⇒数時間~数日後にGMが小説形式で行動の結果を返す、という方式になっている。

オンセとくらべ、より「読み物」としての一貫性を重視したゲーム形態になっているのが特徴。

あとTRPGとくらべ、プレイヤー側は拘束時間など諸々の参加コストが軽くて済む(シナリオ中に最大3回行動指針を送ればいいだけで、道中の行間はマスター側が補完してくれる)。

 

いにしえのTCGゲーマーの中には、ゲームぎゃざの真ん中らへんのページでガンダムとかRu/Li/Lu/Raの読参企画をやっていたのを覚えている人がいるのではなかろうか。 

あれらはプレイヤーとGMサイドが手紙/ハガキでやりとりするプレイバイメール(PBM)という形態だったのだが、これを手紙でなくネットを介して行うようにしたのがPBWと言える。

 

 

……などと解説してはみたものの、自分もPBWはこの第六猟兵が初めてである(TPRGも経験はゼロ)。

運営するトミーウォーカーという会社もPBW界隈では老舗らしいが、そのことを知ったのもつい最近だ。

(じゃあなぜPBWに参加しようと思ったのか? たまたまである。たまたまタイムラインに流れてきたからである……)

 

 

そんな完全に門外漢な自分が初めてPBWに参加したのだが、そこでいちばん驚いたのはリプレイ書いてもらうのが有料だということ(!) 

よく配信で見てたオンラインセッションの延長線上で考えていたので、GMから返答を貰うのにお金が必要とは知らなかった。

 

           いかにもおバカな当惑をつぶやく当時の自分

 

 

しかしよくよく考えてみれば、PBWというのはプレイヤーの参加コストの減少分をマスターが受け持つ(プレイヤーは行動方針を出し、マスターは一つの物語を執筆する)ことで成立しているゲーム形式で、プレイヤーとマスター間の参加コストはTPRGよりも明確に非対称的だ。

 

じっさい調べてみたら第六猟兵のGMはマスター兼「シナリオライター」として扱われていて、シナリオ一本ごとに運営会社であるトミーウォーカーからお給金も出ていた。

つまりプレイヤーからすれば「同じ卓を囲んで遊ぶ」というよりは「自分のPCの活躍をライターに小説にしてもらう」というようなプレイ体験に近い様子だった。

 

ちなみに参加者なら誰でもシナリオを投稿してマスターになれるわけではなく、専用の試験を受けて(指定された要項を満たした模擬オープニングやリプレイ回答をメールフォームから送信し)、運営会社からマスター合格の判定をもらう必要がある。

 

自分もユーザー登録してから3日後くらいに試験の存在を知り、どうにか回答をひねりだして送信。無事合格できた(公式の合否判定は迅速で、たしか翌日には送られてきた)。

 

PBW初参加にもかかわらずなぜマスターになろうと思ったのか?

それは……無課金でも遊べるからである……。

シナリオに参加するのは有料だが、シナリオを書く側に回ればタダで遊べるのである……。

 

そんなわけで年が明けていろいろ落ち着いてから、シナリオを一本書くことにした。

 

 

 

書くまえ

 

実は表題シナリオのまえに物は試しでオープニングを一本投げているのだが、運営の事前チェック段階で「書式がめちゃくちゃ」という理由でボツになった(オープニングに関してのみ公開前に運営のチェックが入る)。

書式を崩したのはシナリオ内容と絡めた意図的なものだったのだが、たいへん勉強になりました……。

(なお公式が定める書式の赤入れはかなり厳密で、たとえば文頭や文末に使える文字が決まっていたり、空行を二回連続で使えなかったりする)

 

 

さておき、第六猟兵のシナリオへの参加費用は1プレイングあたり500円。

思うに素人のショートテキストに500円払うというのはなかなかない。500円というのは文庫本が(プロの作品が!)一冊買える。

 

その支払いに見合うだけのものを書く、などとおこがましいことを考えるつもりはない。ただ少なくともお金を払ってもらう以上は、それなりにいいものを書きたいなという気持ちでいた。

できることならプレイヤー全員が「このシナリオに参加してよかったな」と思ってくれるようなものを書きたかった。

 

また自分はマスターとしてもPBWプレイヤーとしても新人であり、過去PBW作品からのプレイヤー間での付きあいや信頼関係の積み重ねみたいなものもない。

名無しの新人がベテランのマスターと同じ土俵に上がって参加者をとりあうわけで、なにかしら武器がないとシナリオに人を集められないなとも思っていた。

 

とはいえ自分のテキストに武器と呼べるようなものはなにもない。名無しの背くらべから頭一つ出せそうなアイディアも特に持っていない。

結局のところ思い浮かぶのは泥臭さの代名詞、「人より手間暇をかける」ぐらいのものだ。

なので第一作目だけはコストパフォーマンスだの時間効率だのは考えず、とにかく手間暇を尽くして自分に書けるだけのものを書くことにした。この先のマスター活動の名刺みたいなものを作るつもりで臨んだ。

 

 

以下、本編をオープニングから順番に本文をときどき引用しながらマスター視点で振り返る。

 

なおトミーウォーカーによると、下記の権利表示をしたらシナリオは外部サイトで公開してもOKらしい。web2.0的思想で非常にありがたい……。

ただしプレイングだけは転載NGとのこと。著作者がマスターではなくユーザーであるためだろう。

 

なのでこのエントリ内ではユーザーのプレイングに言及するが、内容はここに記載できなかったりする。対照したい方には面倒になるが、下記のリンク先にて都度確認していただければと思う。

 

 

 ●権利表示

『第六猟兵』(C)墨緒/トミーウォーカー

 

 

 オープニング

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「――というわけであなたたちには、異常繁殖したアルラウネの収穫を手伝ってもらいたいの。で、その原因まで明らかにできたらベストね!」

 
1.アルラウネ ⇒ 2.花を活性化させるドラゴン ⇒ 3.商店の手伝い、とフラグメントガチャがたまたま運良く噛みあったので、このようなストーリー展開になった。
  
締めに商店フラグメントが配置されたのを見て「倒したアルラウネを販売する」というアイディアを連想し、そこから「アルラウネを育成している農園の収穫の手伝い」という一章の構成に至った。
 
 

農夫息子「犬も足りねえ、ホシカもねえ。このまま行けば耕地を越え、農道を覆い、街にまで種苗が広がって行っちまう」

 

ホシカというのは「干鰯(ほしか)」、つまり魚肥のこと。

アルラウネは肥料を与えるとおとなしくなる、というのがGMが事前に想定していた解の一つだった。

とはいえ敵設定は参加者に応じて適時作りなおすつもりでいたので、なるべく強調したりはせず、異物感のあるワードをぽんと配置する種蒔き程度にとどめた。

 

自分の中でこの手の伏線は別にきちんと回収される必要はなく、プレイヤーが使える道具を置いておく感覚に近い。

そばによく燃える木がありますよ、とか、ベランダにロープが置いてありますよ、みたいな感じだ。

プレイヤーが利用するならそれでいいし、そうでなければ背景にまぎれていつの間にか消えている。

この手の「プレイヤーが使えそうな道具やギミックを細かく撒いておく」という行為がマスタリングでは大事なんじゃないかと自分なりに考えていた。

 

そして魚肥とか金肥という風に書いてしまうとGMからのアピールが露骨すぎるように感じたので、農夫言葉の「ホシカ」にした。

こういう風に専門用語を混ぜ込むと「ん? ホシカってなんだろう」と読み手が違和感を感じて自発的に調べる可能性が高くなり、結果としてマスターからの誘導感を漂白してくれるのではないかという考えがあった。(奏功したのかは分からない)

 

 

スケッチには下半身が根茎状の、体長20cmほどの少女図が描かれている。

 

細かいところだがこれはちょっと小さく設定しすぎかなと投稿したあとに感じた。

想定していたアルラウネの大きさが大根ぐらいだったので、30~40cmぐらいと書くべきだった。

20cmだと「耕地を覆う」レベルになるまでどれだけの本数が必要になるんだ……

 

 

農地の行きすぎた破壊や焦土化は、現地で慎ましやかに暮らす農民たちにとって悪夢以外のなにものでもないだろう。

 

『第六猟兵』のゲームシステム上(最低400字からコンパクトに展開されるシナリオ)、現地民の人間性というか暮らしぶりみたいなのが物語の中で省略されやすいんじゃないかと思った。

今回は「農地」という泥臭いテーマがあったので、せっかくだから現地民の地に足をつけた姿を書きたいという心構えでいた。

最終章は日常回で商店を手伝う運びになっていたので、現地民のキャラクターをきちんと描写しておいた方が後の交流のシーンで活きるだろうという目算もあった。

 

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「猟兵の力は強大だけど、大事なのはいつだって困ってる人に寄り添うあなたの気持ちよ!」

 

これはオープニング提出の30秒まえとかに「なんかここに前段の補強になるセリフを入れて文章のリズムを整えたいな」という感じで急遽付け足した一文だったのだが、思いがけずこのセリフがこの物語のメインテーマになっていたように思う。

このシナリオのテーマはなんですかと問われたら、「困っている人に寄り添うあなたの気持ち」と答える。

参加者のみなさまが物語のどこかの一節で、このセリフをもしも想起してくれていたのだとしたら、MSとしてこれ以上の喜びはない。

 

しかしこのシナリオを端的に表現するようなセリフが、まったくの後付けで生まれたものなのが個人的にはとても愉しい(というか後付けでこのテーマに物語を寄せていった部分も大いにある)。

このようなライブ感による遊星飛行もPBWならではの体験だった。

 

 

そんなこんなでオープニングを提出。そして半日も経たず無事承認。

参加者からのプレイング投稿をドキドキしながら待つことに……。

 

 

第一章

 

 

で、いきなり最適解のようなものが来た。

 

一人目 星羅 羽織PC

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    がっぽがっぽ ←かわいい

 

初シナリオでほんとうにプレイングが来るのだろうか?

一人も参加者が来ないまま奈落に沈むのでは……?

と思っていたので、はじめてプレイングが来たときはほんとうにありがたかったし大変うれしかった。

しかもこれは確かオープニングが承認されたその日のうちに来たんじゃなかったかな。メールを受け取ったときは手を合わせてありがたや~~~と画面を拝んだ。

 

プレイングの内容もかなり的確、というか想定回答の百倍スマートだった。

「遠距離から引っこ抜く」みたいなプレイングは送られてくるかなと思っていたが、「ローブで覆うことで叫びを封じて」というのが鮮やかだ。羽織PCの独自性(ローブのヤドリガミであること)をうまく使っているし、絵的にも美しい。

なにより「アルラウネを傷つけすぎると商品価値がなくなる」ことをきちんと記述していたプレイングはこれだけだった。

 

加えてこのプレイングには彼女のキャラクター性もすごくよく出ていて、マスター的にもストーリーを作りやすかった(研究材料としてアルラウネが欲しい、お金がっぽがっぽ←かわいい)。

うまくいえないのだが「シナリオ内世界にきちんとキャラクターが入りこんでいる」という感じがした。おかげで遅筆な自分としてはものすごく早く書き上げられたと思う。

リプレイもそれらプレイングの手際を反映して、ほとんど絶賛の内容となった。

 

気になるところがあるとすれば、初手にして満点回答が出てしまったことぐらいである……。

後につづくプレイヤーが困るかもしれないと思った。

なんとか演出でうまく差別化したいところ……。

 

 

二人目 ハルピュイア・フォスターPC

 

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     シナリオでも1、2を争う武闘派

 

で、羽織PCとは対照的にゴリゴリの肉弾戦タイプだったハルピュイアPCのプレイング。

 

猪突猛進気味な彼女のアクションは直前の羽織PCとの対照性を見せ、物語の緩急をうまく生み出していた。

ハルピュイアPCが意図していたかはわからないが、非常に美しい流れを作ってもらったと思う。

 

またMSとしては「アルラウネの音波がどの程度のダメージを与えるか」を提示できたのもシナリオ進行の面でありがたかった。後述するが、次章以降で彼女の行動が大きな意味を持ってくる。

 

音波の攻撃に対しては、彼女が防御策を用意していなかったためダメージを与えることになってしまったが、MSとしては「申し訳ねぇ……」と思いながら泣く泣く赤丸ひとつを加えた感じだった。

いちおうダメージ判定をマスター説明書で確認したところ、赤丸ひとつはほぼノーダメージと同義だったので、次シナリオに残らない最低限のダメージを与えることにした。

(とはいえ、あまりにもダメージ描写が浅すぎると以降の脅威度も薄れてしまうので塩梅が難しい)

 

序章段階での被弾をペナルティだとPLに感じてもらいたくなかったので、あくまで演出の一環だとプレイヤーに意識してもらえるように心を砕いた。

具体的にはダメージ描写で彼女のキャラクター性に一歩踏み込んで物語を描くことにした。

彼女の参加していた過去シナリオを読みこんで、その時に生じたイベントを演出に取りいれることにした。

 

(ここで再度リンクを貼るが、参加リプレイ部分に直接飛べないので各々スクロールしてもらわなければならない……⇒ 今年もアルラウネ収穫の季節がやってまいりました

 

ここはハルピュイアPLにのみ受けとってもらえればよいパートなので、ポエトリ色強めな(そこまで詳細に描写しない)書き方になった。

 

個人的には第六猟兵の活動すべてがそのキャラクターの土台になっている(活動履歴がそのキャラクターを形作る)感覚が好きでこのような演出に挑んでみたのだが、PCの個人的な領域に踏みこみすぎている感じもしていて非常に迷う部分でもあった。

このような演出を受け入れてもらえたのか、いまだ反応が知りたい部分でもある。

 

 

 

三人目&四人目  バッカンボーPC&エドゥアルトPC

 

f:id:tenkoTCG:20190812052844j:plainf:id:tenkoTCG:20190812100523j:plain        陽のバッカンボーと陰のエディ、二人のアプローチの違いが面白い

 

 

髭のおじさんPCのプレイングが続けて送られて来たので、はじめて連携採用というものにチャレンジした。(そんな理由でいいのか?)

 

バッカンボーPCはシナリオの方向性に完璧にフィットしたキャラクターで、こういうPCが自分のシナリオに参加してくれたことが本当にうれしかった。

際限なくカオティックな第六猟兵の世界観のなかで、地に足の着いた実直な農夫のキャラクターが自分にはとても新鮮に映った。

 

農夫への聞き込みというかたちで情報収集をプレイングに入れていたのは彼が初だったので、ありがたくこちらも情報をドコドコ出させてもらった(こういう堅実な役回りを率先して行ってくれたのも、彼のキャラクター性にきちんと添っていて好感を抱いた)

 

このとき「アルラウネは土グルメ」 という情報を提示した。単にプロローグで語られた内容の詳述なのだが、急遽ここで無力化の材料に土だけでなく水も加えることにした。

土肥だけだと利用幅が狭かったので、プレイングの受け皿を広げるつもりで付け足した。

 

 

一方でエドゥアルトPCはかなり玄人受けのキャラクターで書き出しにかなり悩んだ。

自己紹介を見てみたところロジカルという単語が出ていたので、いわゆる『論者』ということでいいのかな? という気もしたんだけど、プレイング自体にその要素はなさそうだったので確信が持てなかった。

「ござる」っていう語尾も違うはずだし……たしか……。 

迷いながらもプレイングの方向性に乗っかり、コメディリリーフ強めの扱いで動かすことに決めた。

(ただ本人が演出していないのに勝手に草生やした発言をさせたのはよくなかった。

投稿したあとでさすがにエドゥアルトPCのキャラクター性を軽視しすぎだと内省した。PLが不快に思っていたなら本当に申し訳ない)

 

 

エドゥアルトPCはプレイングの内容がどれも面白く、どんな立ち回りをしても読者の目を惹くタイプのキャラクターだと感じた。

ただそれゆえに連携して動かす際には他の参加者を食いすぎてしまわないように気を配った。

このパートでバッカンボーPCのセリフ量が若干多いのは(実直なキャラとキャッチーなキャラで)自分なりに嘱目のバランスをとろうと苦闘した結果なのだが、逆にエドゥアルトPCが割を食ったように感じていないか不安だった。

 

それにしても前段の長過ぎる自己紹介パートに対し、問題解決パートがすごく短いのが実にアンバランスだ。

でも仕方ないと思う、なぜなら文句のつけようがない完璧な回答だったのだから……。

 

しかしプレイヤーが歯ごたえを感じられずに終わってしまうと申し訳ないので、次章へのヒキも兼ねて次の脅威をチラ見せすることにした。

物語の連続性を感じるのでこの手のブリッジ演出はけっこう好きなのだが、プレイヤー側から見るとリプレイ単体で完結するように書いてほしいものかもしれない。

あまり多用するべきではないかもと思う。これも反応があるなら知りたい部分。

 

 

実は第一章はプレイングがもうひとりぶん来ていたのだが、提出期限が二人とまったく同じタイミングで執筆が間に合わなかったため、泣く泣く却下申請することになってしまった。

八時半の締め切りで自動却下になると第二章の導入を書くまえにプレイングが来てしまうかもしれないので、手動で却下申請を行わざるを得なくなってしまった。

でもそのプレイングにまったく疵瑕はなく、完全に自分の力量不足による問題だった。せっかくプレイングを頂いたのに申し訳ない。

 

 

 

閑話

 

第六猟兵のガイドを見ていると、どうもプレイングが採用された参加者からマスターに向けてお手紙(という名の感想メッセージとかお礼の言葉)が届くことがしばしばあるらしかった。

たぶん連綿と続くPBWの歴史のどこかでマナーとして定着したのだろうと思う。

 

最初に自分がそれを知ったときは「お礼の手紙が不文律化しちゃうと、送る側は無理にでも感想をひねり出さないといけなくなるから大変だな~」ぐらいにしか考えていなかった。

むしろお礼の慣習化については否定的に考えていたくらいだ(義務的なお礼は送る側も送られる側も不幸せになるだけだろう)。

が、実際にマスターとして第一章を終え、PLからの手紙を初めて受けとって分かったことがある。

 

f:id:tenkoTCG:20190812095839j:plain   お手紙だいじ。

 

シナリオ中でもマジだいじ。

そして送る側にとっても送られる側にとっても大事だと心の底から思った。

 

 

というのも手紙を送ることでマスターに自PCをより魅力的に動かしてもらえるようになるから。

 

マスター側からすると、預かったPCの描写に対して「その書き方でOKですよ」というある種の「お墨付き」をPLから受けとることで、そのキャラクターの動かし方の指針が正しく定まる感があった。

それがこのシナリオを進めていく一週間ほどで、身に沁みて分かった。

 

リプレイに対して参加者からのフィードバックがないと、マスター側は明確な手がかりを持たないまま次章以降も「えーっとこのキャラは一章の方向性で書いてもいいんですか? 継続参加してるってことは大丈夫ってことですよね……?」といまいち確信を持てない中でフワフワとキャラクター描写を重ねていくことなる。

 

結局のところ他人のキャラクターはどう書いたとしても不確実性の迷いが残る。

その中でPLからのお礼の手紙というのは、PCを動かしていく上で「この方向で書いていいんだ」という確実性の拠りどころになった。

ゴールの見えない森の中で方位磁石を与えてもらえる感じ。

なので手紙を貰った参加者のPCの描写は、それ以前と比べると地に足が着いて生き生きとした表現になっているだろうと思う。

 

 

要するに無料で自PCの描写のクオリティアップに繋がるので、シナリオ進行中でも手紙は送り得というのが自分の結論になった。

(もちろんこれはマスター側がPCの設定をきちんと読みこみ、解釈を正しくリプレイ上に表現しているという前提に基づく)

 

自PCについて間違った理解をマスターがしていた場合でも、把握ミスによる人称間違いなどの指摘なら(あまりにも攻撃的な口調じゃなければ)個人的にはとてもありがたいと感じる。

 

個人的には、

「楽しく読みました。次参加する時もこの方向性でお願いします。ただ年下に対する二人称は『おまえ』ではなく『アンタ』です」

こういうの内容だけのお手紙でも大変ありがたいと思う。

 

感謝の言葉を尽くしたり語彙に凝る必要はまったくなくて、「この方向性でOKですよ」という誘導灯がもらえるだけでPLからのメッセージとしては個人的には十分以上のありがたさだった。

 

というわけで参加したシナリオが気に入った時(そしてそのマスターのシナリオに継続参加したいと思った時)は、シナリオ進行中だろうと言葉数少なかろうとドコドコお手紙を送ってあげるとwin-winになれるんじゃないかなと思いました。

 

 

 

第二章以降は、次の記事に続きます。

(⇒ もうちょっとお待ちを……)