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TCGデザイン論に関するブログ

【MTG】ドミナリアの深夜プレリに行ってきた 圧倒的"暴"

 

4月22日に行われたドミナリア/Dominariaのプレスリリース・パーティに参加してきました。 

土曜0時になった瞬間にスタートして、全三回戦で4:00ぐらいに終了。

 

 

今回のプレリリースキットの内容はこんな感じ:

(画像は日本公式ウェブサイトの入門記事から引用)

 

・『ドミナリア』ブースター×6
・プロモFoil 『ドミナリア』のレアか神話レアからランダムに1枚
・プロモFoil 『ドミナリア』の伝説クリーチャーからランダムに1枚
・20面体ダイス型のライフカウンター(20の位置がドミナリアのマーク仕様)
・初心者のためのデッキ構築アドバイスシート

 

伝説セット記念ということで、今回はプロモパックにフォイルカードが2枚ぶん封入されている特別仕様。運が良ければプロモパックからレアを2枚引ける。

 

 

いつもプレリは行きつけのお店に参加していたんだけど、そこが来月に店を閉めることになってしまった。

ネット上でもTCGショップの閉店情報がよく目に入るようになった昨今、この片田舎のプレイヤー事情を考えるとそう遠からぬ世界の話だと思っていた。とはいえ、実際に目の当たりにするとなんとも寂しい気持ちになる。

一介のプレイヤーに過ぎない自分でもコミュニティのためになにか貢献できないかを考えずにはいられない。

 

 

 

そんな陰気な内省はさておき、ドミナリアのカードプールを眺めた時点での環境の事前印象についてまず書いておく。 

以下、記事中に登場するカード画像はすべて公式カードギャラリーからの引用。

 

 

環境の事前印象

・プールチェックはアーティファクト優先

 

歴史的カウントのためにアーティファクトの優先度が高い。

《這い回る偵察機/Skittering Surveyor(DOM)》はシールドだと引ければ引けただけ嬉しいベストコモンの1枚に入る。

 

今弾では後述するコモン装備品など何色を選ぶにせよメインデッキに入るカードがあるので、プールのチェックはアーティファクトから行ってよいと感じた。

 

 

・バットリが強い

象徴的な1枚がこれ: 

歴代のコモンバットリでもかなり強い。破壊不能付与は先制攻撃付与の実質上位互換だし(先制攻撃で得られるリターンのほとんどは破壊不能で網羅できる)。相手のバットリによるドシャクリを受け流すためにも使える。

自分はなるべくメインデッキにバットリ入れたくない人間だが(スペル枠オール除去イズベスト)、これはアドバンテージ獲得の受けが広いバットリなので躊躇なくメインに入れられると感じた。

 

あとこれ。

ラヴニカの都市の隅で《蛮族の血気/Savage Surge(RTR)》が泣いている。

向こうはアンコモンやぞ! DOMのカードパワーの設定値がよくわかる1枚。

 

 

・イージーウィンできそうな装備品やオーラが多い

 

 

レアなしでも貧民アグロでジャイアントキリング狙えそう。こういうのによるクソビートを咎められるので《不屈の意志/Adamant Will(DOM)》の価値が高いのじゃ。

 

あと今回は青コモンだけでイージーウィンパッケージが完結している。

ボムを引けなくてもコモン内で構築を試行錯誤する余地はありそうに感じた。

 

 

・なので解呪系はメイン投入でもよさそう

 

緑の解呪はソーサリーだけど白の解呪はインスタントなので弱体修整のバットリとしての運用もできる。

上述したようにコモンアーティファクトも多く、割る対象には困らないので実質除去枠カウント可能。ボム英雄譚がクリティカルな章能力に至るまえに割ったりもできる。

 

 

・白青緑が安定していて、赤が細い

というわけで、白緑は今回バットリが強いのと解呪系がメイン採用できるおかげで、プレイアブルなカードの枚数に下駄が履かされ構築に安定感がある。

そして青がシールドで弱いときというのはだいたい生物が細くて除去もニッチ、みたいな環境が多いんだけど今回はその両方に上質なカードを貰っている。

 

 

対して赤がちょっと厳しく見えた。アーキタイプが分散するシールドで、ニッチな役割の細いカードが他と比べて多い。

 

黒も生物がちょっと細いんだけど、アドバンテージを取れるカードが多いおかげでミッドレンジ帯での運用は安定しているように見える。

 

 

というわけで今回のカードプールの総合力は

白=緑 > 青 > 黒 > 赤

みたいな事前印象を持った。

 

過去記事で言ったことをなんども繰り返しているが、シールドはプールの平均値で戦うゲーム、シナジーの掛け算よりもカードパワーの足し算で押しつぶしていくゲームになりやすい。シナジーの爆発力があるけど安定性がない色よりも個々のカードパワーが高い色のほうが評価が高くなる。

今回の赤はウィザードやゴブリン、その他アグロに寄りすぎたパーツにコモン枠を取られて割を食っている、というのが環境事前の印象だった。

 

 

時計が0時をまわり、いざ開封の儀。

 

カードプール

引いたレアはこんな感じ。

 

(高額神話レア2枚引き)いいですねえ!

あと《カーンの経時隔離/Karn's Temporal Sundering(DOM)》が通常パックからFoil枠でめくれた。ていうか今回、プレリパックでレアFoilめくれ多くない? 周りでもよく当たってて、プレリプロモ両面と合わせて光り物レア3枚入り、みたいなデッキを終日よく見かけたよ。なんかそういう封入率調整されてんのかな?

 

 

 

プロモレア枠は《縄張り持ちのアロサウルス/Territorial Allosaurus(DOM)》で、プロモ伝説枠は《血の儀式司、ウィスパー/Whisper, Blood Liturgist(DOM)》。さすがにレア9枚体制とはならず。残念。

 

以下、色別・マナカーブ順のカードプール(雑感つき)。

 

 

白。 

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極端に3マナ域に偏っているのが難だが、除去ありフライヤーあり歴史的カードありで個々のカードパワーは平均点以上の内容。80点くらいはあげられる。

2マナ域が厚い2色目を選べれば文句なしで、それが青なら完璧、という感じ。

 

 

で、期待の青なのだが……

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これが可もなく不可もなくといった内容。

白と組むとしたら2マナ域の補強が少し枚数足らず。ホマリッド(4マナ3/3で登場時4枚ライブラリー削り)3枚もいらんから2マナ域やバウンスがもっと欲しかった。

歴史的参照が多いので、白青組むならアーティファクト次第ということになりそう。悪くはないが、全勝狙うなら物足りない内容。

 

黒。

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除去3枚でちょっとしたお祭り状態だが、クリーチャーの品揃えがあまりにも悲しい……。

生物の必要量が一色だけでまかなえてるカラーに除去とアドバンテージカードだけ渡してあげる、みたいなラインナップ。

 

 

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さすがにこのカード枚数は舐めすぎ……。

総生物数5枚に対してバットリとオーラ3枚じゃさすがに噛み合わない。火力は3枚あるが除去目的なら黒を選ぶし、質量で劣るこの色をわざわざ選ぶ理由はほとんどない。

強いて言うならマルチカラー絡みのタッチでワンチャンあるかというくらい。

 

緑。

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やっと低マナ域がそれなりに厚い色がお目見えしてくれた。

キッカー持ちが4枚あるおかげでミドルレンジからロングゲームまで対応できる。

レアの格闘恐竜に加えて《フレイアリーズの歌/Song of Freyalise(DOM)》というボムまである。文句なしのメインカラー候補。

除去が弱いのでそこを補える相方を見つけたいところ。

 

無色&多色。

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《世界の盾/Shield of the Realm(DOM)》(2マナ装備品で、装備クリーチャーが受ける各ダメージを2点軽減)と《ウルザの秘本/Urza's Tome(DOM)》(2マナファクト、3マナタップ起動で1ドロー、その後自分の墓地の歴史的を追放するか1枚ディスカード)はどの色を選んでも確定で入るだろう。

あとは低マナ域と歴史的カウントを補強する《通電式召使い/Voltaic Servant(DOM)》がデッキによっては入りそう、みたいな感じ。

金色はどれも強力だが、赤絡みの2枚は赤単色のプール内容からタッチ採用に留めることになりそうだ。そうすると多色土地の引きが結構ありがたい。

 

 

プールをざっと眺めた感じだと、 強力なマルチカラーを有する白青(&タッチ赤)かミッドレンジコンセプトが整ってる緑白(&タッチ青)がいちばん素直な構築のように見える。

 

 

構築

というわけで実際に組んでみた。

まずはマルチカラーに誘導されるまま素直な白青を。 

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WU Historic Tempo

= 15 Creatures =

《通電式召使い/Voltaic Servant(DOM)》
《新ベナリアの騎士/Knight of New Benalia(DOM)》
《逃亡者、梅澤哲子/Tetsuko Umezawa, Fugitive(DOM)》
2*《アヴナントの罠師/D'Avenant Trapper(DOM)》
《守衛官/Sergeant-at-Arms(DOM)》
《ペガサスの駿馬/Pegasus Courser(DOM)》
《模範となる者、ダニサ・キャパシェン/Danitha Capashen, Paragon(DOM)》
《アカデミーのドレイク/Academy Drake(DOM)》
《フェメレフの誇り、クェンデ/Kwende, Pride of Femeref(DOM)》
《艦の魔道士、ラフ・キャパシェン/Raff Capashen, Ship's Mage(DOM)》
《コイロスの守護者/Guardians of Koilos(DOM)》
《セラの天使/Serra Angel(M10)》
《真珠三叉矛の歩哨/Sentinel of the Pearl Trident(DOM)》
《パーディック山の放浪者/Pardic Wanderer(DOM)》

 

= 8 Spells =

《一瞬/Blink of an Eye(DOM)》
《ギデオンの叱責/Gideon's Reproach(DOM)》
《ウルザの秘本/Urza's Tome(DOM)》
《世界の盾/Shield of the Realm(DOM)》
《ベナリア史/History of Benalia(DOM)》
《祝福の光/Blessed Light(DOM)》
《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria(DOM)》
《カーンの経時隔離/Karn's Temporal Sundering(DOM)》

= 17 Lands =

9*《平地》 8*《島》

= 入らなかったカード =

《叙爵/Dub(DOM)》
《神聖の発動/Invoke the Divine(DOM)》
《中略/Syncopate(DOM)》
《ホマリッドの探検者/Homarid Explorer(DOM)》*3
《燃えがらの風、エイデリズ/Adeliz, the Cinder Wind(DOM)》赤白チェックランド

紫色が採用を迷う23枚目ラインのカード。

個別カードで見ていくと歴史的コンセプトに沿ったイケてるカードが多いのだが、テンポデッキとしては2マナ域が少なすぎ、ミッドレンジとしては細いクリーチャーが多すぎる。

《コイロスの守護者/Guardians of Koilos(DOM)》(5マナ4/4アーティファクト・クリーチャー、登場時に自分の歴史的パーマネント1つをセルフバウンスできる)なんかはデッキに入れなくて済むならそれに越したことはないボヤッとしたカードだ。

「痩せたデッキ」の典型みたいな構築になってしまった。もう2枚ぐらい1マナ域があればよかったのだが。

タッチ赤も簡単にできそうだが、それでデッキに加えられるのがいちばん膨らんでいる3マナ域2枚というのはよろしくない。

 

今になって思えば、ホマリッド3枚と《精励する発掘者/Diligent Excavator(DOM)》(2マナ1/3で歴史的を唱えると3枚ライブラリー破壊)を入れてミル構築にチャレンジしてもよかったかも……。

でも何を抜くかまで考えると、ミッドレンジバリューの生物を減らして4マナ3/3のスペースを作ることになるわけで、さすがに初見でそこまでの冒険的な判断はできなんだよ……。

 

 

さておき、白青の手触りがわかったことろで次は緑白を組んでみることにした。

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GW Midrange

= 15 Creatures =

《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(DOM)》
《通電式召使い/Voltaic Servant(DOM)》
《腐食軟泥/Corrosive Ooze(DOM)》
2*《アヴナントの罠師/D'Avenant Trapper(DOM)》
《守衛官/Sergeant-at-Arms(DOM)》
《ペガサスの駿馬/Pegasus Courser(DOM)》
《模範となる者、ダニサ・キャパシェン/Danitha Capashen, Paragon(DOM)》
《フェメレフの誇り、クェンデ/Kwende, Pride of Femeref(DOM)》
《ベイロスの大喰らい/Baloth Gorger(DOM)》
《縄張り持ちのアロサウルス/Territorial Allosaurus(DOM)》
《セラの天使/Serra Angel(M10)》
《マンモスグモ/Mammoth Spider(DOM)》
《始源のワーム/Primordial Wurm(DOM)》

= 8 Spells =

《ギデオンの叱責/Gideon's Reproach(DOM)》
《ウルザの秘本/Urza's Tome(DOM)》
《フレイアリーズの歌/Song of Freyalise(DOM)》
《世界の盾/Shield of the Realm(DOM)》
《ベナリア史/History of Benalia(DOM)》
《神聖の発動/Invoke the Divine(DOM)》
《祝福の光/Blessed Light(DOM)》
《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria(DOM)》

= 17 Lands =

7*《平地》 7*《森》 1*《島》
《結束の記念像/Memorial to Unity(DOM)》
《内陸の湾港/Hinterland Harbor(DOM)》

= 入らなかったカード =

《叙爵/Dub(DOM)》
《ラノワールの斥候/Llanowar Scout(DOM)》
《壊れた絆/Broken Bond(DOM)》
《成長の資質/Gift of Growth(DOM)》

 

《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(DOM)》が1枚入っただけでなんと綺麗なマナカーブ! これで3マナ域の渋滞もある程度正当化できる。

 クリーチャーの殺意も青とくらべて非常に高く、これを見た後にあらためて青を振り返ってみるとその細さに哀しみが湧いてくるほど。

ワームをペガサスで飛ばしたり、グダったトークン横並び+《フレイアリーズの歌/Song of Freyalise(DOM)》というゲームエンドプランもある。キッカーでマナフラ受けもできる。

 

 

他にも緑黒や白黒など黒絡みの構築も試してみたが、あまりにも低マナ域が貧弱すぎて構築にならなかった(そして赤は最後まで黒の下位互換という印象に終始した) 。

白を抜くと中盤のボード構築が貧弱になりすぎ、緑を抜くと勝利コンセプトを失う。「除去はあるけど何で勝つデッキなの?」みたいな放蕩構築になってしまう。

 

結局のところ、白の3マナ域渋滞と緑の《ラノワールのエルフ》の組み合わせがカードプール的に一番希望がある印象を持った。

 

 

……のだが、初戦は白青歴史的でいくことにした。

せっかくのプレリなのだから新規コンセプトの感触を試してみたかったというのがある。ひょっとしたら緑白よりはるかに爆発力があるかもしれない。

特に伝説のソーサリー《カーンの経時隔離/Karn's Temporal Sundering(DOM)》の使い勝手を見てみたかったのだ。

 

というわけで30分の構築時間が終わり、いざ対戦席へ。

 

 

戦績

一試合目:緑黒t赤ミッドレンジ

緑のファッティ+黒除去の組み合わせでミッドレンジの王道を往く、みたいなデッキ。

1ゲーム目は睨み合いのボードをペガサスが空から1点ずつ削る、みたいな状況から《ファイレクシア経典》が飛び出してきてもうめちゃくちゃされる。

相手の一番強い1体だけが無人のボードを駆け抜けるという鬼畜ムーブ。

そのうえ着地した相手の《孤独の王、グラン》に対抗手段がなく、荒ぶる森の神を鎮める生け贄がごとく毎ターン1体のチャンプブロッカーを奉じていくのみ、みたいな悲しいボードに。

それでもここしかない、というターンに《カーンの経時隔離》が撃ち込めて、残り1ライフまで削る。しかしこちらのボードが保たずに死亡。

白青の細肉どもでこの軍勢に勝てる気がしなかったので緑白にシフト。無事2・3ゲーム目で勝ちを取り返す。

×○○

 

この試合で相手デッキの殺意の高さをその身に分からされてしまった。

結局これぐらいのクソムーブは参加者誰しもが持ってるのだろうな、それがドミナリアという環境なのだ……。

白青はあまりにもやってることがかわいすぎた。なにが伝説のソーサリーじゃ、お膳立てすごい頑張ったのに勝てへんやないけ!

以降は緑白にシフトしてこちらも圧倒的なプロアクティブアクション、すなわち"暴"を押し付ける側に回ることにした。

 

 

二試合目:白黒t赤ミッドレンジ

アルイェールとテシャールという似たよーな名前のレジェンダリーが並び立つロングゲームばっちこいなミッドレンジデッキ。

 

お互い1勝ずつしたあとの第3ゲーム、《悠久の壁/Amaranthine Wall(DOM)》(4マナ0/6、(3):ターン中破壊不能を得る)に完全に地上をシャットアウトさせられる。

あと1ターンあれば《フレイアリーズの歌》が最終章"暴"を見せつける、というところでタイムアップ、引き分け。

○×-

 

三試合目:白緑黒ミッドレンジ

本物の暴力やんけ

××

 

 

 

×○○○×××、1-2で終了。

 

 

思えば全員黒を使っていた……。そして誰も青を使っていなかった。

やはりシールドだとボムレジェンダリーの暴力がすさまじく、それに押し潰されずに切り替えせる黒除去が不可欠、という感じだった。

そして黒だけだと盤面構築に難があるので、白か緑でボード要員を充填する、という感じなのかな。

そのせいで地上は鏡打ちでの睨み合いになりやすかった。で盤面が固まるとボムを引き込んだもの勝ちのゲームになってしまう。

じゃあアグロは成立しないかというとそんなこともなく、装備品やオーラによるサポートがあれば突破も可能という感じ。

 

とりあえず二回目の参加レポにつづきます: